口切の茶事 

こんにちは!日本茶サイト≪en-cha≫ のオーナーでお茶オタクの真弓です。


ドイツでもサマータイムが終わり11月に入って日が短く感じるようになってきました。


そんな冬の始まりですが、茶道の世界では

実は炉に切り替わり、新しいお茶を開封する時なので

まさに茶の湯のお正月の到来でもあります。



今ではいつでも手に入る抹茶ですが、

もちろん昔はそんなに簡単にはいきません。



昔は江戸時代(西暦1613年)、徳川幕府の時に

お茶壺道中という制度が存在しました。


江戸からお茶を運ぶ配下の者たちが京都の宇治まで行き、

5月に摘まれたお茶の葉を茶壺に詰めさせて、

帰路の途中でもある駿河の国(現在の静岡)の涼しい場所で夏の間保管され

秋に江戸まで運ばれ江戸で開封される、というものです。

前に書いた新茶とは全く違った理念で、

お茶を涼しい場所に寝かせることにとってよりおいしくするということがすでにされていたのですね。

お茶壺道中 – panoramio.jpg


お茶壺道中はもちろん今ではありませんし、

自分の家でお茶の葉を保管、石うすで挽くところまでやっている人はきっと稀でしょう。


しかしながら茶道の世界では11月に儀式として

壺からお茶の葉を取り出す【口切】を茶事で行います。


またその年の新しいお茶を使うということですので

茶室の障子や庭に使われている竹などは全て新しく改めたりもします。

茶道のお正月、ということで、

気持ちを改める、新しい気持ちで行う行事でもあるのですね。

口切稽古

和紙で封をしてある壺の口の部分ですが、

これも決まった作法で行われ、

お茶を取り出した後は再び決まった作法にて封がされます。


裏で全てを終わらせるのではなく、

客人の前で全て披露する、というのも茶道ならではですよね。

いかがでしたでしょうか。


なかなか行うことのできない口切の茶事のお稽古ですが、

せっかくのこの季節ですので

割稽古だけでも行ってお抹茶をいただいてみると

また一段とお茶が美味しく感じるでしょう。

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